遺品整理はいつから始める?時期に迷ったときの考え方
遺品整理 2026/10/11 公開
この記事の結論
- 物の片付けそのものに、決まった開始日はありません。四十九日は法的な期限ではなく、気持ちと家族の予定に合わせて決めて構いません。
- 急ぐ理由になるのは、期日が決まっているものです。賃貸の明け渡し、家の売却の予定、相続の承認や放棄の3か月、相続税の10か月、相続登記の3年が代表です。
- 始める日は、運び出す日でなくて構いません。最初は写真を撮り、書類と貴重品を探すところまでで十分です。
「遺品整理は、いつから始めればよいのでしょうか」。身内が亡くなったあと、家の中の物を前にして、多くの方がこの疑問を抱きます。早く片付けないと周りに迷惑がかかるのではないか、かといって気持ちが追いつかない、という板挟みになることもあります。本記事では、始める時期を決めるときに頼りになる「期限」と「気持ち」と「家族の事情」の3つの視点から、考え方を整理します。結論を先に言えば、物の片付けそのものに決まった開始日はありません。ただし、期日が決まっている場面では、そこから逆算して始める必要があります。
四十九日が過ぎてから始めるものだと聞きました。それより早く始めてもよいのでしょうか。
四十九日は宗教上の区切りで、遺品整理の法的な期限ではありません。早く始めても構いませんし、気持ちの整理がつくまで待っても構いません。ただし、賃貸の明け渡しや相続の手続きなど、期日が決まっているものがあれば、その期日が優先です。

始める時期は、3つの場面で決まる
遺品整理に、始めなければならない日はありますか。
物の片付けそのものに、決まった期限はない
本記事の作成時点で、遺品整理にあたる物の片付けそのものに、期限を定めた法令は確認できませんでした。四十九日、百か日、一周忌といった区切りは、あくまで供養や家族の気持ちの区切りです。周りから「そろそろ片付けたら」と言われたとしても、それが法律上の期限ではありません。
一方で、片付けと切り離せない手続きには、期限があります。始める時期を考えるときは、まず自分の状況が次の3つのどれにあたるかを見ます。
- 期日が決まっている場面。賃貸住宅の明け渡しや、家の売却・解体の予定などがある場合です
- 手続きの期限がある場面。相続の承認や放棄、相続税の申告、相続登記などが関わる場合です
- 期日が決まっていない場面。持ち家で、売却の予定もなく、急ぐ事情がない場合です
どの場面にあたるかで、「いつから」の答えは変わります。同じ家族の中でも、物件ごとに場面が違うことがあるため、物件ごとに考えましょう。
急ぐ理由になるもの、ならないもの
急ぐ理由になるのは、期日が文書や契約で決まっているものです。賃貸住宅なら、契約書に解約の予告期間や明け渡しの条件が書かれています。家の売却や解体の予定があれば、引き渡しの日が期日になります。
反対に、「なんとなく早く済ませないと」という焦りや、周りの声は、急ぐ理由にはなりません。焦って始めると、残したかった物まで手放してしまうことがあります。急ぐ理由があるかを、期日の有無で確かめましょう。
賃貸住宅は、契約書を最初に確かめる
亡くなった方が賃貸住宅に住んでいた場合は、最初に賃貸借契約書を確かめます。見るのは、解約の申し入れをいつまでにするか、明け渡しの日をどう決めるか、という点です。契約の内容は物件ごとに違うため、一般的な目安で判断せず、契約書そのものと、管理会社や大家さんへの確認を優先してください。

家賃がいつまで発生するかは、契約の内容と解約の手続きの進め方で変わります。思い込みで判断せず、契約書の記載と管理会社の説明で確かめましょう。管理会社に事情を伝えておくと、明け渡しまでの段取りを相談しやすくなります。賃貸の退去と遺品整理の進め方は、賃貸住宅の遺品整理と退去で詳しく紹介しています。
手続きの期限は、日付に直して書き出す
相続の手続きには、どんな期限がありますか。
期限は、遺品整理とは別に進む
相続の手続きには、期限が付くものがあります。遺品整理は、これらの手続きと同じ時期に重なることが多く、片付けの順番にも影響します。公的機関が示している主な期限は、次のとおりです。
| 手続き | 期限 | 起算点 |
|---|---|---|
| 相続の承認または放棄 | 3か月以内 | 自己のために相続の開始があったことを知った時 |
| 準確定申告 | 4か月以内 | 相続の開始があったことを知った日の翌日 |
| 相続税の申告と納税 | 10か月以内 | 死亡したことを知った日の翌日 |
| 相続登記 | 3年以内 | 不動産を相続で取得したことを知った日 |
民法は、相続人は自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に、相続について単純もしくは限定の承認または放棄をしなければならないと定めています(民法第915条第1項)。ただし、この期間は、利害関係人または検察官の請求によって、家庭裁判所で延ばせます。
準確定申告は、亡くなった方に所得があった場合に、相続人が代わりに行う確定申告です。国税庁は、申告の期限を、相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内としています。
相続税の申告と納税の期限は、国税庁によると、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内です。この申告が必要なのは、取得した財産の合計額が基礎控除額を超える場合で、基礎控除額の範囲内であれば、申告も納税も必要ありません。
相続登記は、3年以内の申請が義務になっている
不動産を相続した場合は、相続登記の申請が義務になっています。法務省のQ&Aによると、不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に登記する必要があり、正当な理由なく怠ると、10万円以下の過料が科される可能性があります。遺産分割で取得した場合は、遺産分割の日から3年以内に、その内容に基づく登記をします。
令和6年4月1日より前に相続を知った未登記の不動産も対象です。この場合は、令和9年3月31日までに登記する必要があります。自宅や実家が未登記のままになっていないか、早めに確かめておきましょう。
3年以内に手続きが間に合いそうにないときのために、相続人申告登記という簡易な制度もあります。自分が登記簿上の所有者の相続人であることを法務局に申し出るもので、申し出た本人についての義務を果たしたものとして扱われます。ただし、売却や担保に入れるときには、改めて相続登記が必要です。
期限は日付に直して、一枚に書き出す
「3か月以内」「10か月以内」と書かれていても、日付に直さなければ、いつまでに何をするかは見えてきません。起算点は、亡くなった日と同じとは限らず、手続きによって違います。
次の手順で、期限を一枚の紙に書き出してみましょう。
- 亡くなった日と、相続の開始を知った日を書く
- 手続きごとに、期限の日付を計算して書く
- 日付を、遺品整理でいつ書類を探すかと並べる
日付の数え方に迷うときは、税理士や司法書士など、その分野の専門家に確認してください。起算点の判断は、個別の事情で変わるためです。
期限が近い順に、書類と貴重品から探す
手続きの期限があるとき、片付けは何から始めますか。
最初に探すのは、手続きに使う書類
相続の手続きが関わる場面では、家具や衣類を手放す前に、書類と貴重品を探すところから始めます。通帳、保険証券、不動産の権利証や固定資産税の納税通知書、年金関係の書類、借入金の契約書、遺言書などです。これらが見つかると、相続人の確認や、財産の洗い出しが進みます。
書類は、思わぬ場所から出てくることがあります。仏壇の引き出し、衣類のポケット、本の間などです。物を処分する前に、中身を確かめる習慣をつけておくと、見落としが減ります。

財産に手を付ける前に、気をつけること
民法は、相続人が相続財産の全部または一部を処分したときは、単純承認をしたものとみなすと定めています(民法第921条第1号)。ただし、保存行為などは例外とされています。
どこまでが処分にあたるかは、個別の事情で変わります。借金があるかもしれないと思うときや、相続の放棄を考えているときは、価値のありそうな物を手放す前に、弁護士や司法書士に相談します。分からない物は、手放さず保管しておくのが安全です。
書類の探し方と、手続きの順番は、遺品整理と相続の順番で詳しく説明しています。
最初の1日は、運び出さずに終える
始める日は、運び出しの日ではありません。最初の1日は、部屋ごとに写真を撮る、貴重品と書類を探す、見つけた物を箱ひとつに集める、の3つで十分です。
写真を撮っておくと、あとから家族と相談するときに、現地に来られない人にも様子が伝わります。最初の1日で運び出さないと決めておくと、始めるハードルが下がります。
期日がないときは、気持ちと家族の予定に合わせる
気持ちが追いつかないのは、自然なこと
期日がなければ、気持ちが落ち着くまで待っても構いません。大切な人の物を前にして、手が止まるのは自然なことです。写真や手紙、よく使っていた道具には、思い出が詰まっています。そうした物を前にして、判断が重くなるのは、特別なことではありません。

ただし、待つあいだにも、家は人が住まないまま時間が過ぎます。窓を開けて換気をする、郵便物を確かめる、といった最低限の管理は、続けておくと安心です。
小さく始める方法
いきなり片付ける必要はありません。気持ちが追いつかないときは、段階を踏んで、小さく始めましょう。
最初は、部屋に入って眺めるだけで構いません。次に、引き出しを1つだけ開けてみる。慣れてきたら、迷わない物から決めていく。このように分けると、1回あたりの負担が小さくなります。判断が重い物は、次の図のように、後回しにして構いません。
判断が重い物は、後回しで構いません。軽い物から決めていくと、全体が進んでいる実感が持てます。
家族の予定が合う日を先に決める
遺品整理は、1人で決められないことも多い作業です。きょうだいや親族がいる場合は、全員が集まれる日を先に決めておくと、進めやすくなります。

遠方に住んでいる家族がいる場合は、連休や年末年始に合わせて予定を組む方法があります。その場合は、集まる日までに、書類を探す、物の写真を撮る、といった下準備を済ませておくと、当日の判断が速くなります。
家族で決めておくと、始めやすくなる3つ
誰が中心になって進めるか
誰が窓口になるかを決めておくと、連絡が分散せずに済みます。中心になる人は、家に近い人が引き受けることが多いものの、負担が1人に偏らないよう、役割を分けるのがおすすめです。たとえば、書類の整理は1人、業者とのやり取りは別の1人、という分け方です。
費用の負担も、先に話し合っておきます。誰がどの範囲を負担するかは、決まった決まりがありません。あとで食い違いが起きないよう、書面かメッセージに残しておきましょう。
いつ集まるか
集まる日を決めると、そこが最初の締め切りになります。期日がないときほど、日付を置くことで、始めるきっかけになります。半年後、一年後といった遠い日ではなく、まずは1〜2か月以内の日を選ぶと、現実的です。
集まる日の前までに、各自が持ち帰りたい物を考えておくと、当日の話し合いが短く済みます。
形見として残す物をどう決めるか
形見分けのルールを先に決めておくと、物の取り合いを避けられます。たとえば、1人につき段ボール1箱まで、写真は全員でコピーを分ける、といった具合です。
高価な物や、資産としての価値がありそうな物は、勝手に分けず、相続の手続きと合わせて確認します。判断が分かれる物は、保留の箱に入れて、全員がそろう日まで動かさないのが安全です。
業者に頼むなら、いつ相談するか
作業の1か月前を目安に、見積もりを取り始める
業者に頼むと決めたら、希望する作業日から逆算して、見積もりを取り始めます。1社だけでなく、複数社に同じ条件で依頼して比べるのが基本です。比べる時間を確保するためにも、期日が決まっているときほど、早めに動きます。
期日が迫るほど、比べる時間がなくなり、急かされて決めてしまうことにつながります。国民生活センターは2022年11月2日、不用品回収サービスのトラブルについて注意を呼びかけています。紹介された相談の一つは、広告の料金と実際の請求額に大きな差が出た例です。時間に余裕があるうちに、見積もりを取りましょう。
相談だけでも、早めにしておいてよい
見積もりを取ることと、依頼することは別です。まだ手を付けられない段階でも、現地を見てもらって、おおよその金額と作業日数を知っておくと、家族で話し合うときの材料になります。

見積もりの取り方と、業者を比べる方法は、遺品整理業者の選び方にまとめています。費用の目安は、遺品整理の費用で確認できます。
よくある質問
四十九日の前に始めても失礼になりませんか
法的な決まりはなく、家族や親族の考え方で決めることです。気になる場合は、親族に一声かけてから始めると、後の行き違いを防げます。供養が気がかりなときは、仏壇や位牌の扱いを、先に菩提寺などへ確認しておきましょう。
賃貸で、期日までに間に合わないときはどうしますか
まず、管理会社や大家さんに事情を伝えて、相談します。契約の内容や状況によって対応が変わるため、早めに連絡するほど選択肢が残ります。作業が多い場合は、業者に頼んで短期間で終える方法もあります。
放置したままにしても、問題はありませんか
物の片付けそのものに期限はありませんが、手続きの期限は別に進みます。また、人が住まない家は、傷みや防犯の面で管理が必要です。定期的に換気をして、郵便物を確かめるなど、最低限の管理は続けましょう。
相続放棄を考えているときは、何に気をつけますか
相続財産を処分すると、単純承認とみなされる場合があります。放棄を考えている間は、物を手放さず、書類の保管にとどめて、弁護士や司法書士に相談してください。
形見分けは、いつ行えばよいですか
形見分けの時期にも、法律上の決まりはありません。家族がそろう日に合わせて、書類の確認が済んだあとに行うと、行き違いを防げます。価値のありそうな物は、相続の手続きと合わせて確認してから分けましょう。
相続人がまだ分からないときは、始めてよいですか
誰が相続人になるかは、亡くなった方の出生から死亡までの戸籍をたどって確認します。相続人が確定しないうちは、物を手放さず、書類を探して保管するところまでにとどめるのが安全です。確認の方法に迷うときは、司法書士などの専門家に相談してください。
遠方に住んでいて、なかなか行けません
現地に通えない場合は、行ける日に絞って、書類を探す日と、見積もりに立ち会う日に分けて予定を組みます。物の写真を撮って家族と共有しておくと、現地にいない人も話し合いに加わりやすくなります。通える日が限られるときは、運び出しだけを業者に頼む方法もあります。
見積もりを取って、時期の見通しを立てる
始める時期に迷うときは、現地を見てもらい、費用と作業日数の見通しを立てるところから始められます。かたづけ比較では、片付けの見積もりを無料で比べられます。
この記事の出典
- 民法第915条・第921条(e-Gov法令検索・2026年10月11日確認)
- 国税庁「No.4205 相続税の申告と納税」(国税庁ウェブサイト・令和8年4月1日現在法令等・2026年10月11日確認)
- 国税庁「No.2022 準確定申告」(国税庁ウェブサイト・2026年10月11日確認)
- 法務省「相続登記の申請義務化に関するQ&A」(法務省ウェブサイト・2026年10月11日確認)
- 国民生活センター「不用品回収サービスのトラブル」(国民生活センター・2022年11月2日公表)
賃貸借契約の内容、相続の承認・放棄、税金、登記の判断が必要な場合は、管理会社のほか、弁護士・司法書士・税理士など、その分野の専門家にご相談ください。

